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水曜どうでしょう話 その2 『水曜どうでしょう』は終わらない |
『水曜どうでしょう』というのは、このHPの雑文でも語っている通り、ローカルTVのお馬鹿ドキュメントバラエティーなのです。 ディレクターは、ローカルタレントをダマして大喜びして自分も結果苦しみ、デジカメカメラマンはヘタクソな撮影でみんなを困らせ、モジャモジャ頭のタレントはいっつも騙されては大声でボヤき、クチビルの厚っいタレントは怒って喋らなくなるのです。 そんなデコボコチームワークの4人が織り成す爆笑ハチャメチャバラエティー。 それが、私が当初感覚として思っていた、『水曜どうでしょう』の形だったのです。 まだ見てない方も、間違いなくそう思うでしょう。 しかし、番組終了と同時に展開を始めた、TVとは別のメディアでのどうでしょう。 本。舞台。『どうでしょう祭り』と題したイベント。 そういうものを追っていくうちに私は、『どうでしょう』という『番組』が、いや『旅の歴史』が持つ、ある種の本質のようなものを感じるようになってきたのです。 それに気づかせてくれたのが、8月1日に紹介した『水曜どうでしょう本2』の一節。 デジカメカメラマン嬉野さんが書いたこの文章だったのです。 『人は、おそらく生まれながらに幾らかの所持金を持って生まれてくる。 その所持金の額は終生変わらない。増えることも無ければ減ることも無い。 そして人は、不平等に生まれてくる。持ち金の額は生まれつき人それぞれ違う。 けれど、それは仕方の無いことなのだ。誰のせいでもないし嘆くことでも悲しむことでもないのだ。 (中略) 大事なことは、さっさと自分のがま口を開けて中を見るということなのだ。 そこにいったい何円入っているのか。それを自分の目で確かめることが大事なのだ。 勇気を持って。それを知ろうとすることが大事なのだ。 『30円・・・・・』 それしか入っていなかった。だがそれでいいのだ。 自分の所持金がたった30円だと知ればいい。 全ては、そこから始まるのだから。』 嬉野さんは、生まれ持っての『才能』を『自分の所持金』をいう言葉で語っています。 『どうでしょう』をずっと見つづけ、自分もどうでしょうを一生見続ける覚悟を決めた人なら、他のどんな人が語る薄っぺらい励ましの言葉より、他のどんな歌手が歌う、中身の無い歌詞よりも、心に響くものだと思います。 だってこの人たちは、少ない所持金をやりくりして見た人全てを笑わせるもの作りを体現している人たちだから。 この人たちの『所持金』をもっと具体的に言いましょうか。 ローカルであるということ。誰にも期待されない二人のスタッフと素人同然のタレントの集まりがスタートラインであったこと。 実績もない。予算も無い。ほぼ何も無い状態からのスタート。 自分達の置かれている状況のどうしようもなさに気づいて、それでも地道に、一歩づつ、一歩づつ、歩いた結果の『どうでしょう』。 所持金が最初から少ないから、大きな車に乗れるわけでもなければ、皆に振り向いてもらえるようなオシャレもできない。 それでも、自分達がその少ない所持金で出来ることを考え、ゆっくり、ゆっくりと積み上げた『どうでしょう』。 皆が認める『面白さ以外に見るべき場所は無い(無論ですが褒めてます)』 という、ある意味全く贅肉の無い番組のつくりという点が、彼らがどれだけその少ない所持金を無駄なく使ったかという証拠でもあるわけですね。 少ない。だけどそれを無駄にしない。 余った金で贅肉を付ければ人は歩けなくなっていく。 所持金の、才能の有無なんてて問題じゃない。 某アントニオ氏ではありませんが人は歩みを止めたとき、年老い始めるんだということです。 番組を一通り見てきて、こうして別の観点から『どうでしょう』に触れることで、この番組が持つ本質。 『無駄なく歩いたダメな4人の軌跡』が見えてきたのです。 かく言う私の所持金も、幼い頃に抱いてきた才能の幻影は薄れ、おそらく30円・・・・いやもしかしたら20円かも・・・・と思うときがあるのです。 才能という幻影に惑わされ、ありもしない多額の所持金に騙されて、私は落ちるところまで落ちてしまっているような気がするのです。 ただ。それでいいんじゃないか、と。 落ちるところまで落ちたなら、もう落ちないだろう。と。 そこを踏み台に、スタートラインにして、今まで無駄に使ってきた少ない所持金をもう少し無駄なく計画的に使って見ようかと。 少しだけ人生を本質を悟ったような、いままでどんな本を読んでも、どんな歌を聴いても感じることが出来なかったある種の安堵を感じているのです。 人生は旅路なんだと、あらゆる人が言っています。 でも、この『どうでしょう』ほど、『旅は人生。楽あれば苦もあるさ。』と感じさせてくれる物はおそらく他に無いでしょう。 ――――――所持金少ないけどいけるところまでいこうや。 ――――――貧乏旅行だって案外楽しいぞ? あの4人が語りかけてくるような気がするのです。 |