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水曜どうでしょう話 その1

『水曜どうでしょう』の魅力とは?

 

 『水曜どうでしょう』とはいかなる番組なのか。
 知らない方のためにここで説明しておくとしよう。

 『水曜どうでしょう』とは表面的には旅番組だ。
 少ない予算を全部旅費につぎ込み、スタッフ+出演者=4人で、日本、世界、全てを又にかけて企画を行う番組である。
 企画が企画だから、旅と思われても致し方ない。

 日本全国をサイコロの目にしたがって東西南北行ったり来たりしてゴールの北海道を目指す『サイコロの旅』。
 スーパーカブに乗って西日本、東日本、果てにはベトナムを完走したりもした。
 他にも、1週間でアメリカを車で横断、オーストラリアも車で横断。ヨーロッパを制覇しようとしたこともあった。

 確かに『旅』である。
 無論見ていただければわかるように、単なる旅番組ではなく、『バラエティ要素』も含んだ旅番組。
 わかりやすく知名度の高い番組を上げると、『進ぬ!電波少年』などと、方向性が似た作りとなっている。


 しかし、だ。
 全国放送のように大々的な仕掛け(悪い言い方をするとヤラセ)をうつ力もなく、ましてや『電波少年』ほど極限状態を思い描かせるような企画でもない。
 言ってしまえばローカル番組がいくら頑張ったところで、全国放送に太刀打ちできるはずはないのである。


 だったら、なぜ?ページの冒頭に書いたように、この『水曜どうでしょう』は、今や全国に放送枠を持ち、尚且つ熱狂的なファンを増やし続けているのだろうか?

 ここから先はあくまで私の意見だが、この『水曜どうでしょう』ヒットの要因としては、まず第一に、TVというある程度作られた垣根を越えるほどにガチンコな、その番組スタイルにあるのではないのかと思う。





 ここで、主要スタッフと出演陣を紹介しよう。
 北海道では知らないものはいないとすら言われるローカルの星『大泉 洋』。
 大泉の会社の社長であり、北海道ローカルの先駆者でもある『鈴井 貴之』。
 チーフディレクターで、旅では必ずトラブルメイカー『藤村 忠寿』。
 カメラ&ディレクターの『嬉野 雅道』。
 この4人が常に旅に出て、番組は作られていくのだ。


 もう少し深い紹介をしよう。
 出演陣の話からするのが筋かもしれない。
 しかし私はあえて、チーフディレクターの藤村氏の話から始めようと思う。
 『水曜どうでしょう』がいかなる番組か説明するには、この人を説明するの一番なのだ。と、思う。

 まず、藤村氏がこの番組において持っている役割から説明しよう。
 『ディレクター』じゃないかって?いや、それだけではないのだ。
 ナレーション、テロップ入れ、旅先の交通手段の確保など、番組の裏側全てを手がけているが、むしろ、藤村氏はファンにとって、3人目の出演者(声だけ)という意味合いが非常に強いものだと思う。

 さあ、通常の全国ネット番組を見ている方は既にちょっと理解不能かもしれないが、そのとおりなのだ。
 というか、私は、藤村氏こそ『水曜どうでしょう』影の主役だと思ってすらいる。
 藤村氏の存在なくして、『水曜どうでしょう』の人気はなかったとすら言っていい。

 では、3人目の出演者としての藤村氏は、どういう立場なのであろうか?
 一言で言えば、『馬鹿ディレクター』役である。そのまんまである。
 もっと言ってしまえば、この番組は『藤村プロデュース』であると言ってもいい。

 大泉氏がTIMで、鈴井氏がさまぁ〜ずだと思っていただきたい。
 思いつきで書いたが、実はかなり共通点臭いものがあって思いついた自分を褒めたい。

 ネタの元である『内村プロデュース』と違って、本当に藤村氏がプロデューサーであるから始末が悪い。
 彼のせいで、一見普通の旅に思える旅が、どんどん捻じ曲がってひん曲がってグチャグチャになっていくのだ。


 とにかくもう馬鹿なのだ。(バラエティ的に)
 大泉氏を騙して海外に連れて行ったはいいがその場所が自分のディレクションを遥かに超える辛さで自分がひどい目にあっていたり、小ネタ企画を自分でディレクションしておいて、やっぱりひどい目にあったり、出演陣に散々きつい事をやらせておきながら自分は大爆笑していたり。
 そしてその挙句に出演陣(主に大泉氏)に馬鹿呼ばわりされ、番組の作りそのものについてダメ出しされたり。

 そして最後は残るのは、喧嘩、罵詈雑言、死にそうな出演陣2人。
 旅が終わったころには4人揃って燃えカスになっているのだ。

 そしてその、どんどんグダグダになっていく様が最高に面白い。ファンの方ならわかっていただけると思うが。





 この『グダグダの面白さ』を見ていない人に伝えるのは大変難しいが、多分そうではなかろうか?という私の意見を書いておこう。

 その理由。
 それは、『そのグダグダの空気、キツくて死にそうな雰囲気を、その場にいてその場で体験した人間が番組を直接作っているから』だと思うのだ。

 通常の番組はおそらく、番組収録風景を見ているスタッフが、(ここは面白かった)(ここは切ってもいい)などと考えながら、テロップを打ち、編集を行っているのだろう。
 しかし、現場の本当の空気、本当の感覚は、その場で直にその空気を体験したものにしかわからないだろう。
 出演者の気持ちを本当に理解できるのは、同じく出演したものだけ。

 『俺はここが辛かった!だからここをプッシュする!』
 『ここの空気感が最高だった!何とかこの空気が伝わるように面白く仕上げる!』

 そういうことが可能になるのではないかと思うのだ。


 間違いなく、これがローカルの強みである。
 スタッフの少なさ。予算の少なさを完璧に逆手にとったすばらしい作りである。
 そしてこれこそが、『水曜どうでしょう』が数多くのファンを生み出した一要因であると私は考える。

 それだけではない。
 その第3の出演者、『ディレクター』が『藤村 忠寿』という偉大なる馬鹿であったことも、また番組を面白くする要因でもあったのだ。
 彼は、全く旅の予測を立てない。
 いや、立てないというより、立てた予定は必ずオジャンになるのだ。あるときは大雑把過ぎて。
 又あるときは、藤村氏自身の寝坊などによって。

 それが、必ず出演陣を壊れさせるのだ。
 日程はどんどん遅れ、行くべき場所でない場所に迷い込み、旅は混沌としていく。
 それが先程にも書いた喧嘩、罵詈雑言などを生み出すのだ。
 そしてそれを、直接聞いて空気を感じた藤村氏が番組を編集するから、『人の感情を直接刺激する番組』が生まれるのだ。


 誰でも見たら絶対思うだろう。
 『こいつらは何て馬鹿なんだ』
 『どうしてこいつらはこんなに不運なんだ』
←無計画だから

 そして、それらの呆れにも似た感情は何を最後に呼び起こすか。そう。『笑い』である。
 あまりにマジで怒っている様を見て。
 あまりにマジで死にそうになっている姿を見て。
 あまりにマジで危険な目にあっている様を見て。
 あまりに本気の人間を見ると、人間というのは笑ってしまうのである。





 最後に。
 私は考えたのだ。
 『藤村氏は本当に馬鹿なのか?それとも実は天才ディレクターなのか?』
 多分。そのどちらでもあるのだろう。

 馬鹿と天才は紙一重、誰かが言った言葉である。
 私はこの言葉を、ぜひともこの藤村氏に送りたい。


 ・・・・・・えっと。全く大泉さんやら鈴井さんの話が出なかったですけど。
 これらは、また、個別に各旅の話をするとき、存分に語って生きたいと思います。
 大丈夫。彼らも彼らで、最高に面白いから。


 
(※ この文章に出てくる『馬鹿』という表現は、人を貶めるための表現ではなく、一点の曇りもない褒め言葉です。誤解しないでくださいね。
 よく言うじゃないですか。『愛すべき馬鹿』って。<全くフォローになってない)

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