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THE LAST REMNANT

機種 XBOX360
発売元 スクウェアエニックス
発売日 2008/11/20
ジャンル RPG
価格 8190円(税込)
備考  

 

物凄い惜作



※以下、凄く悔しいのでかなり暴言吐いています。

◆ ストーリー ◆

ミトラ、ヤーマ、クシティ、ソバニ……
4つの種族が織り成すあるひとつの世界。
そこには、遥か古代より“レムナント”と
呼ばれる謎の物体が存在していた。
誰が、何時、何のために造ったのか……
人々はそれを知ることもなく、知る術もなく、
只ひたすらに“レムナント”の持つ強大な“力”を引き出し、利用し生き続けてきたのだった。
しかし、大きすぎる“力”は、
世界の輪を少しずつ歪めていく。
いつしか、支配する者とされる者に分かれて
しまった人々は、 永き戦乱の世へと
その足を踏み入れていくのだった。


それからおよそ1000年……


物語は動き始める。

 

さて。XBOX独占のスクエニRPGという事で注目を集めて来たラストレムナント ですが、

惜しいことこの上ないゲームであることは間違いないので、
是非ともプレイして欲しいとは思うのですよ。

ただねぇ。システムも用語も非常に独特なので、
レビューしにくいったらありゃしねぇんだよなぁ。


なのでこちらの動画を見ていただきたいのですよ。



エフェクトの地味さや、
妙にテンポの悪い戦闘。


動画を見るだけでも感じるところは多い。
戦闘メインだから確かに戦闘を重ねるとダルくなる。

それに戦闘以外でも、


・クソの塊のような『素材システム』。

戦闘で手に入れたアイテムに喜びを感じられないし、
何に使うかも分からないもので、アイテム欄を圧迫されてしまう。

第一戦闘回数を重ねちゃいけないシステム(サガ伝統だね)なのに、
素材を規定数集めさせるのは、
ゲームデザインが崩壊しているとしか言いようが無い。



・リーダー数の制限と強すぎるメインキャラクター

最大18人パーティーへ加えることが出来るものの、
『リーダー』と呼ばれるキャラクターは、      ※リーダーキャラ=(バックストーリーがある&強い)
6人しか加えることが出来ない。
残りはモブキャラクターばかりだ。

なのに、
ストーリー上パーティー離脱しないキャラクターが合計6人。
しかもやたら強い。
わざわざ別のリーダーキャラを雇い入れるのが馬鹿らしくなるシステムなんだ。


難点だけならさらにいろいろある。
戦闘システムについてだってまだまだ言い足りない。
あとまあ、プレイしていない人には伝わらない難点も多い

だからもうこれ以上書かないけどね。







だけど。だーけーど、だ。


多少テンポが悪くたって、システムに難点が多くたって、
『ゲーム』として面白ければまるでOKなんですよ。

まあつまりは「愛」を持てれば。




そういった、逐一目立つ難点が積み重なり、

結果、海外レビューがくそみそだった。

でも、決してそれは「ラストレムナント」が悪いゲームである、というわけではないし、
海外レビューは主に技術点に重きを置いている所がある…
・・・様な気がするし。


(海外レビューリンク)







さて。じゃあ、


何がこの「ラストレムナント」における一番のガンであるか?

まあそれはゆっくりと説明していきます。




この『ラストレムナント』の戦闘システムで特筆すべきなのは、


『大人数の冒険』
『ガキが主人公じゃなくていい』
『最大18人の自由な編成(しかも捨てユニット無し)』
『「戦記」を書ける』


以上のようなRPGを、
シナリオから作ることが出来ることであると思うのです。



『シミュレーションRPG』ならともかく、
『RPG』でこれだけ制約を取っ払えるというのは
アイデアだけで満点モノであるんじゃないかな。
今までのRPGでは、結局パーティーの最大人数は4〜6人だしね。


そして、最近のRPGに特に顕著な、
『システムと乖離してしまったシナリオ』。これをしっかり打破できるシステムでもあるんだよね。

シナリオ見せたがりのオナニーRPGがまあ本当に多い。

シナリオ進めりゃラスボスは縛りプレイでもしない限り楽勝で、
さあシナリオとは関係の無い隠しボスでお楽しみください。


それはさすがに思考停止もいいところだと思うんだ。


ゲームの感動、というかRPGの感動は、
シナリオよりまず頭フル回転した末の強敵への勝利じゃないの?
将棋やカードゲームで勝つことに近い喜びじゃないの?


レベルを上げればパワーゲームで勝ててしまう というのであれば
最初からノベルゲームにでもして、
必ず主人公が勝ってヒロインと結ばれる物語を
延々と書けばいいんだよ。

そういう形にしてくれれば絶対買わないから。



俺はムービーが10分以上あると眠くなるタイプの人間で、
ヒロインのキャピキャピボイスを聞くとダルさが増すタイプの人間です。

ボイスオフ機能とスキップ機能、そして要点あらすじ機能を
標準でつけて欲しいけど・・・まあそれは置いておいて。





この『ラストレムナント』の戦闘システムは、
要するに「一つの軍隊」を操るモノなんだよね。

主人公一人にいくら特別な力があろうが、
一人ではどうすることも出来ない戦闘を描くことになる。

仲間を集め、仲間も鍛え、
一人では到底叶わない圧倒的な強さ、数の敵に対して、
団結力と戦略で立ち向かうものですよ。



『軍隊を操る』となれば、
従来のRPGとは全く違う…
例えば名作「天地を喰らう」に近いストーリー展開だって
可能になるはずじゃないかな?


強く優しく、カリスマ溢れる主人公に従い、
共に戦う若者、古参兵。

これこそまさしく「戦記」であり、
三国志や戦国時代に似た壮大で男らしいストーリーを
描きうる素材であると思うのです。


従来のRPGでは、どうしても「主人公の成長」が
メインになってしまうため、
どうしても主人公は若者であり、
正義感溢れるか斜に構えてるかのどちらかしかなかったんだよね。
もしくは自分が性格から性別まで全て決めちゃうか。

結局、今までのRPGでは、
どうやってもシナリオ自体は新しくはならないと思うんだよ。



「酸いも甘いも噛み分けた武将」が主人公のRPG。
というのは今までなかなか見られないものであると思うのです。

もっと簡単に言うと、ギアーズオブウォーの
マーカスみたいな主人公のRPGを。



…ちょっと極端すぎた。
まあ主人公だから一般ウケしてもいい。それはいい。




けれども、こんな初期レベル80オーバーみたいな
マーカスのような軍人も、結局この戦闘システムではただの一人に過ぎない。
戦力的にはたった18分の1だしね。

最初から主人公「だけ」が強くても、(もしくは弱くても)
まるで許容できるシステムなんですよ。

むしろ、上にも書いたとおり、
カリスマ溢れ、理想に燃えるリーダーであればあるほど、
「強く優しいリーダーに付いて行く」という構図が
ハッキリとすればするほど、「戦記」というものは面白くなるものです。


三国志、劉備の武力は60前半程度ですよ?(周りは90やら100とかいる中で)
だけど立派なリーダーであり、三国志演戯の主人公だよね。

ただの世間知らずで理想も無いバカには、
孔明だって何百顧の礼されても付いていかないよ。










俺が強烈に不満を感じるのは、
そういった、いくらでもシナリオを膨らますことが出来るシステムに対して
あまりに酷いとしか言いようの無い、
システムをこれでもかと言うぐらい生かしていないシナリオ。


そう。

この「ラストレムナント」最大のガンは、

まさしく頭を1mmも使っていないような

『シナリオ』にあると思うのです。







何故主人公がただのガキなのか。
理想も無い。主義も無い。教養もない。敬いの気持ちもない。
空気読めない。本能だけしかない。なのに個人能力は強くなる。
一言で言うとムカツク。



それならまだしも、
何故最後の最後まで軍隊を指揮する立場にならないのか
。(シナリオ上で)
何故基本的に、仲間の金髪イケメンにまかせっぱなしなのか。(※金髪イケメンは、『アスラム』という国のトップ)

そして話の進行もコイツに言われて動くだけ。
最後の最後まで主人公は、自分の意思、自分の力だけで戦おうとしないんだよね。


むしろそれなら金髪イケメンを主人公にした、国同士の戦乱で書け。
それならまだ、納得できる。



何故こんな大軍勢を率いておきながらメイン目標が妹の奪還なのか。
妹と家族全てで、他はどうなろうが知ったことじゃないという、
主人公の悪意の無い独善さがまた怒りを誘う。



何故、個々の力より団結、戦略が重要視されるシステムなのに
『主人公には特殊な能力が 運命が 血筋が(失笑)』とかやっちゃうのか。



何故魅力的な種族、国があるのに、
ラスボスは『古代の遺産が意思を持って動いてたよ〜もちろん人間型で(大爆笑)』なのか。



何故この素晴らしい戦闘システムにおいて
やたらファンタジーをからめ、凡庸で、退屈で、
あってもなくてもいいような、
とどのつまりスクエニ病がうつってしまったような
単なるRPGシナリオにしてしまったのか。




このシステムであれば、
むしろ魔物なんて一匹もいなくていいぐらいなんですよ。

人と人との戦争をハッキリと描き、
その中での苦悩や悲壮感、
そして英雄の一大冒険史を ドッシリと書けばいいし、
そうやって書いても絶対通用するRPGになったはずなんですよ。

主人公だって、最後の最後まで金髪イケメンの国に依存せず、
途中で抜け出して一人で戦ったって良かったと思うのですよ。

最初は空気が読めなくたっていい。
最初はバカだって教養なくったっていい。
そこからリーダーたる資質を身に付けて行けるなら。

だけど延々バカで無知で流されるままなんだもん。



「サガ」だからシナリオなんてどうでもいいと言うのであれば、
最初からロマサガシステムにすればいいじゃないか。
(小さなシナリオのつまみ食いシステム。
 戦闘回数で自動的にシナリオ進行。)


それならまだ納得できる。
主人公はあくまで『オープニングのみ』に人格があり、
あとは自分の分身となりうるからね。
自由に仲間を見つけ、部隊を組めると言うなら。

だけど延々ストーリーは一本なんだもん。





何と言うか、
一本スジが通ったような気持ちよさを感じないゲームだと思います。

SEもいいのに、BGMも良いのに、
あらゆるところから妥協や技術不足、
不必要なスクエニ臭さがスケスケになって
見えてきてしまうゲーム。



そのくせ戦闘システム自体は、作り込みも発想も本当に素晴らしいと思う。

本当に扱いに困る。惜しい。
本当に惜しいゲームだと思うし、
逆に言えばこういう独特のゲームを『完成』させられないスクエニにまた失望を覚えざるを得ない。



進化に期待・・・したいのだけどどうにもならなそうだな。



個人的な要望としては、是非このシステムで
ロマサガ2もしくはサガフロ2のギュスターヴ編を遊んでみたい。

両方主人公は一国の主だし、相手は強大な力を持つ7英雄&エッグ。

ロマサガ2は、国の代表なのに5人パーティーだったSFC版の矛盾(?)を、
さらに『一国の興亡記RPG』という形に昇華できる気がするし、

ギュスターヴ編は言わずもがな、だしね。

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