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DRAGON QUEST [

(ドラゴンクエスト[ 空と海と呪われし姫君)

機種 PlayStation2
発売元 スクウェア・エニックス
発売日 2004/11/27
ジャンル RPG
価格 9240円[税込]
備考 プレイヤー人数:1人
セーブデータ容量:178キロバイト
全年齢対象
プレイ時間 80時間くらい

◆ プロローグ ◆

 いにしえの昔から、邪悪な力を持つと語り継がれてきた伝説の杖。
 その杖を封印していた城に、ドルマゲスという道化師が現れ、杖の封印を解き放ってしまいます。
 目覚めた邪悪な力の呪いによって、城の時は止まり、国王や姫も姿を変えられてしまいました。
 ただひとり呪いから逃れたあなたは、城や国王たちを救うための冒険に旅立つのです。

 

 見わたす限りの世界がある。
 今回のドラクエのキャッチコピーであるが、まさにその通りだった。

 遠くに見える町に向かって走れば、次々と大地が現れてくる。
 少し休憩を挟んで空を仰げば、果てしなく青い天空がいっぱいに映し出している。
 街道を抜け海岸へ躍り出れば、荒々しくも何処かやさしさを感じる海が広がっている。

 まさに見わたす限りの世界が、そこにはあった。
 冒険に憧れていた、あの少年の日々が映し描いた世界がそこにあった。
 そして大人になった少年は、今日も広大な世界へと旅立っていく・・・。





 どうも、オーサのレビュー第三弾はようやく待ちに待った超大作、『ドラゴンクエスト[』です。
 正直、レビューを書くのには気が引けています。
 何故かといわれても、どうにも説明が難しいんです。

 私が始めて触れたゲームこそ、シリーズの一つである『ドラゴンクエストV』でした。
 若干5,6歳にして『ドラクエV』をやっていたわけですが、当時のドラクエはセーブが消えやすいため、私がドラクエを始める度にセーブデータは消えていました。

 しかし何事も無かったかのように始めからやっているではないですか。

 1,2時間ぶっ続けでやっても、せいぜいロマリアに着く程度なわけで、頭脳に焼き付けられてますよ。
 アリアハンからロマリアまでの攻略チャートが。





 それがきっかけでゲームも好きになり、冒険という言葉も疑似体験ではありましたが、体で覚えました。

 長いこと色んなゲームをやってきましたが、自分自身が冒険をしていると感じるRPGは極僅か。
 大抵、強制イベントが発生してそちらに向かわなければならなくなったり、プレイヤーがどう足掻いてもストーリーが一本道であったり、ストーリーだけを見せられていたり・・・。
 あまり満足のいく『冒険』がなかったんです。

 その冒険を提供していてくれたドラクエも『Z』のせいで、
 ドラクエは もう駄目なのかな・・・。
 正直、そう思っていて次回作が発表されても期待できなかったんです。


 ・・・しかし、ある日を境にして、私の少年時代の憧れがふつふつと蘇ってきたんです。
 それは、私が中古ゲームを探し回っていた時でした。

 ふと店内から聞き覚えのあるフレーズが、私の耳に入ってきたんです。
 ・・・そう、ドラゴンクエストの序曲が。
 自分でも不思議なものです。あのフレーズを聴くとどうも心の何かを揺さぶるんです。

 たまらずその音源をたどっていくと、そこには『ドラクエ[』のプロモーションビデオが流れていたんです。
 そこには、主人公が広大な世界を翔けていたんです。
 何より、キャラデザである鳥山明氏のキャラクターがなんの違和感も無く3Dになっていたことが一番驚いた。
 それは、初めて『FINAL FANTASY Z』の3D映像を見たときの感動と同等、いやそれ以上でした。


 それから月日は流れ、『ドラクエ[』は延期をすることなく無事に発売されました。
 勿論、私も速攻で『ドラクエ[』を買ってきました。

 ヘッドホンの準備良ーし! お菓子良ーし! 飲み物良ーし! 尿意イクナイ!

 そして尿意を済まし、PS2に『ドラクエ[』のディスクをセットし、始めました。

 PS2「パォーン シュイィーン ペーポーン。(PS2の起動音)
 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・あかん、起動しねえ
 どうして初期型PS2はこうも止めてくれるかな。『真・三國無双3』の時もそうだったぞ。

 それから幾度と無くディスクトレイの出し入れをして、ようやくPS2のロゴが。

 いいですねえ、序曲のテーマ。思わず涙腺が緩んじゃいましたよ。
 のっけからこの調子では、エンディングはどうするんだー。





 と、数々のドラマ(ぇ)を語ったところで、そろそろレビューに行きたいと思います。

 今回の『ドラクエ[』は数多くの見所があります。
 真っ先に述べるとなれば、やはり広大な世界でしょう。

 最近のゲームはフィールドが簡易版になっていたり、実際歩かなくなったりと、色々とありますが今回の『ドラクエ[』は違っていました。
 フィールドも、町も、城も、全て原寸大!!
 それはまるで、過去に発売した『闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光』を彷彿させるようなスケールのでかさ。

 今までのドラクエであれば、町から町へ移動するのにせいぜい3分足らずで行けます。
 しかし、今回は平気で10分はかかります。
 この広大な世界を隅まで踏破するには相当時間が掛かることでしょう。

 それに伴ってルーラとリレミト、地図が初めて大活躍をすることになるんです。
 ここまでリレミトを使ったドラクエも始めてだよ・・・。

 あまりの広大さが仇となったのか、多くのプレイヤーの三半規管を狂わせてくれます。
 行きと帰りでは見える世界が違うため、迷ってしまうケースが多いんです。
 つまり、下手に動くと迷います。RPG熟れした私ですら迷います。
 しかも序盤では地図がないため、帰るに帰られない状況に。
 迷いたくない人は道沿いに歩いた方が無難です。ちゃんと行き着きますから。

 更に、時間の経過がよりリアルになっており、青い空、夜の星空は勿論、夕焼けや朝焼けがみられます。

 今まで、こんなに空が美しいゲームはあったでしょうか?

 ろくにゲームで風景に魅入られることの少ない私がそういうんです。まさに副題の通りですよ、堀井さん。

 これで次々と乗り物を手に入れた途端、また別の世界を見ることが出来るところがまたすごい。
 船であれば、無限に広がる大海原が。
 空であれば、今までの道のりが一望できる世界を堪能できてしまいます。

 まさに冒険をするにふさわしいステージです。
 是非、寄り道しまくって迷いましょう。




 次にキャラクターでしょうか。
 鳥山明氏のキャラクターがなんの違和感も無く、しかも活き活きと動く様は素晴らしかった。
 今回、2Dではとても採用しづらい演出がちらほら見受けられ、逆に新鮮でよかった。

 ただ、何故にゼシカの乳の揺れっぷりに力をそそいだんでしょうか・・・?
 そしてリカちゃん人形の如く、着せ替えが出来るし。
 乳揺れは『DOA』だけでいいんじゃないでしょうか。まあ別にいいんですけどぉー。





 戦闘も見所が満載です。
 最初、味方が見えていて違和感ないんだろうか? と思っていたんですが、意外にもよろしかった。

 武器や盾を変えると、グラフィックを変えるという小さなこだわりがまたステキです。
 ステキなのですが、どうしてまどろみの剣は直剣になってしまったんでしょうか。 あのグルングルンな刀身がステキだったのに・・・。
 あとドラゴンキラーも直剣・・・。
 たしかに扱いづらいですけどさ・・・。


 意外にも戦闘が飽きません。
 終盤にかけると、どうしても戦闘がだれてしまうことがあります。
 しかし、今回は殆どのキャラクターが3D。モンスターだって3Dです。動きまくりですよ?

 たしかに『Y』、『Z』などのようにアニメーションで動いたモンスターはいますが、そんなもん比になりません。
 3Dならではのモンスターがいるんです。

 あのスライムの背中が!
 さまようたましいのマゴマゴしている姿が!
 ましてや、ようやく再登場のおおさそりが!

 もう、すごいんですって。
 新しいモンスターに出会うたびに、どんな風に動き出すのかが楽しみになってきます。
 だから飽きないんです。

 どうでもいいんですが、いつからアークデーモンとサイクロプスは武器を持っているんでしょう。
 『U』では持ってないはずですがねえ・・・。
 それに、いつになったらリカントを復活してくれるんでしょうか?
 同じ『T』だけ登場していたドロルやメーダ、悪魔の騎士ですら『モンスターズ』で登場していたっていうのに・・・。
 そこのあなた、リカントマムルはご存知?


 今回はテンションゲージなるものがあり、ためることによって攻撃力が増します。
 これをゲージいっぱいまでためると、スーパーハイテンションになってすごいオーラを発します。

 それはさながらスーパーサ○ヤ人のように。
 主人公はどうみても孫○空で、ククールはトラン○ス、ゼシカに至ってはべ○ータ様です。
 (何故かヤンガスは普通。)

 絶対狙ってるでしょう、スタッフ一同。


 このテンションゲージについては、発売前にゴディバとバカ話をしたものです。

 作戦の中に「テンションためろ」というものがあるんですが、これを選んだ途端、とあるテーマ曲が流れ、上半身裸で下半身タイツの40超えたオッサンのようにテンションをためまくるという、 ドラクエではあるまじき光景が目に浮かぶとゴディバはいっておりました。

 勿論、そんなことはないです。そんな江○2:50みたいな芸当。




 ストーリーなんですが、なんなんでしょう。
 この『FFU』並みの死にっぷりは。

 主人公たちと関わってくる人たちは、とある関係があるため命を狙われているんですが、どうにもこうにも、死にすぎですよ。
 今までのドラクエで目の前で人が死んでいくのは、オルテガが初めてじゃないですか?

 それでもなんでしょう、演出が上手いのかグイグイと物語にひき付けられます。
 特にラスト辺りのやりとりは、とあるドラクエシリーズをやった人なら感動が増します。





 ただですよ。
 これだけすごい褒め称えていますが、それに反するように不満な点はあります。

 これはシリーズ恒例のことなんですが、相変わらずお金がたまらない
 いつのころからでしょうか、これほどまでにお金がたまりにくくなったのは。
 終盤に差し掛かっても手に入るゴールドは僅か200G

 多くのゴールドを落とすことで有名なおどる宝石ですら100Gいくかいかないか。ゴールドマンは200G。
 いくらなんでもこれは少なすぎですよ。
 そんな微々たる金額でどうやって10000G超えるものを買えって言うんだろう。

 このせいでカジノに行かない人は、大いに金に困ります。
 勿論、私も博打なんてやらないので金に困りました。


 更に、今回から導入されたスキル。
 平均的に上げると、結果的に弱くなります。
 しかも、レベルを最大まで上げても全て最大にすることができません。(最大350ポイント。)

 たしかに、個性をつけるのはいいんですが、すでにスキルやステータスが別なんですからそこは最大まで上げられてもいいのでは。
 (あとで聞いた話によると、スキルポイントを上げる「スキルの種」が敵から手に入るそうです。)

 一番の不満点は以下にありますが、ネタバレにつき隠してあります。

▼ここから

 ラスボスが変身しないってのもどうだったかな。
 MPを温存して戦った私はどうするんだ? 第二形態、第三形態は定例でしょうが。
 それに、なんか弱かったし。なんかラスボスよりも、ドルマゲスのほうがよっぽど苦戦したんですが。


▲ここまで





 総合的に見ると、ドラゴンクエストはやはり裏切らない、でしょうか。
 ファミコン時代はあのドット絵から想像力を膨らませてその世界観に浸っていましたが、今回の『ドラクエ[』ではそれを補ってくれます。

 たしかに、過去の作品から遊んでいる人にとっては不満な点でしょうが、その中の いちプレイヤーである私は正統な進化であり、これがドラゴンクエストであると思います。
 だって、本当に堀井雄二氏が創りたかった世界が、そこにあるんですもの。




 見わたす限りの世界がある。

 まさにこれからのドラクエを暗示しているかのようなフレーズ。
 これまで培ってきた世界観を崩さないで、これからもずっと『ドラゴンクエスト』が作られますように。

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